第2回!映画紹介 「御法度」 by,坂本

自分もこの流れに便乗しておすすめの映画の紹介をひとつ。

 今回紹介するのは、今年の1月に亡くなった大島渚監督の遺作である「御法度」。この映画、ホモセクシュアルな要素が匂い立つ、かなり異色な新撰組映画です。


 男同士の恋愛。新撰組という組織の内部に突如として立ち込めるエロスと、それによる組織の結束の亀裂。「やおい」な描写はガッツリと過剰なぐらいにありますが、それはこの「御法度」という映画の物語に必要不可欠なものであり、また、ただそれだけに留まりません。

 まず、全編を通して非常に緊張感のある、美しい画作り。これには従来の新撰組作品にはなかったナチ風の黒い制服が、画面を引き締めるのに大きく貢献しています。この制服、めちゃくちゃカッコイイです。

 そして豪華かつ適切なキャスト陣。ビートたけし浅野忠信、映画監督の崔洋一などが出演しています。中でも白眉は加納惣三郎役の松田龍平松田龍平はこの映画が映画初出演です(当時15才!)。演技がこなれていないような様子は目に付くものの、それが逆に「若く美しい新撰組の新入り」という役回りにうまく機能しています。

 余談ですが、松田龍平演じる加納惣三郎を中心に展開される物語を観ていて、ぼくはマンガ「HUNTER×HUNTER」のヨークシン編を連想しました。この加納惣三郎というキャラクターは、
・大変なバトルマニア
・切れ長の目で美貌を持った面立ち
・ある人物との斬り合いを望んでいる?
・組織に亀裂をもたらす存在である
などといった点で、ハンターハンターヒソカと多くの共通点があります。なのでハンターハンターを知っている方は、ハンタのヨークシン編との比較でこの映画を観てみるのも面白いかと思います。


 この映画、観終わった後にはいくつもの謎が残されています。あの人物はあのとき何を想っていたのか。何を想ってああいった行動をしたのか。あの発言の真意は何なのか。いったい何が真実で、誰が嘘をついているのか・・・。それらが作中で明確に描かれることはありません(解釈の仕方によっては、ある人物への見方が二転三転とします)。しかしそういった物語の描き方がまた、新たな物語を、観た者の想像力をかき立てる、この映画ならではの心地良い余韻だと言えるでしょう。