脚本です。

出来上がった脚本を載せます。
少し文章がおかしいところがありますが、近いうちに修正します。それとすいませんが「続きを」のやり方がよく分からないので今は長くなりますがそのまま貼付けます。
※9/21省略しました。




*出る部屋

タイトル(黒い画面) 『東京工科大学』 『映画研究同好会』

(SE) 混雑する道路とトラックの信号音

マンションの部屋 引っ越しの作業員と一緒に部屋に荷物を運ぶ井沼。

(作業員)以下(作) 「へ〜山口?また、遠いところから大変ですね〜」

(井沼広太)以下(井沼) 「そうですね〜、けど東京には憧れてましたんで来れてよかったです。」

(作) 「いや〜、新しい地で生活ってこれから楽しみじゃない〜」

(井沼) 「ははっ、そうですね」

(作) 「うん。ま〜、私は東京出身なんで気持ちは分かりませんがね〜」

(井沼) 「はぁ」(苦笑)

部屋の中に鳴り響く携帯の着信音、作業員は携帯を手に取る。

(作) 「あっはい、はい、はーい」

(作) 「ちょっと大きい荷物があるんで取ってきますね。」

(井沼) 「あっ、はい」

作業員は部屋を後にする。一人になった井沼は足下の段ボールに手をかける。

(井沼) 「よいっ・・・」

突如井沼は背を向けていた部屋に気配を感じる。気配の方に振り向く井沼。部屋は日の光が窓から入り暖かみを醸し出していた。
部屋を見渡す井沼。

(井沼) 「・・・良い部屋だな〜」

振り返り、再び段ボールに手をかける。
すると、そのすぐ背後に恐ろしい影が立っていた。

(SE) 不快なノイズ音
タイトル(黒い画面) 『出る部屋』

タイトル画面から井沼の住むマンション(夜)

「2週間後」のテロップ

マンションの部屋 電話をしている井沼

(井沼)「あ〜、うん。大丈夫だよ。順調だよ。」

(井沼)「あ、うん。足りてる足りてる。いや〜、ホント家賃が安くてよかったよね〜」

(井沼)「うん。 うん。分かった。ありがと」

 テーブルの上に置いてある。コーヒーを飲む。それをテーブルに置き、また話し始める。

(井沼)「うん。出来たよ。斉藤って言う人。」

(井沼)「うん。ちょっとしつこい所あるけどいい人だよ。』

(井沼)「うん」

 テーブルの上のコーヒーを取ろうとする井沼。しかし見当たらない・・

(井沼)「うん?」

 するとテーブルの隣の棚の上にあるのを見つけて『おっ』と言いながら少し
不思議に思いながらも何事もなかったようにコーヒーを手に取り飲みだす。

(井沼)「あ、いや、何でもないよ。」

 コーヒーをテーブルに置く。

(井沼)「あ・・、もう遅いからこれくらいにしておくね。」

(井沼)「うん。母さんも、おやすみ〜」

 電話を切る井沼。コーヒーの置いてあった棚を気にするも立ち上がり、
寝る支度をする。

(井沼)「よいしょっと」


〈日常のシーンへ・・・〉

【井沼の日常のシーン】
 朝起きるシーンから始まり、歯を磨く、朝食をとる、学校生活を送っているなどのシーンを
一つ一つ見せていく。(個々のシーンは多めに撮っておき編集の際に選別する。)
見せ方は、一つのシーン(例えば歯を磨いている時に怪現象が起きるシーン)を見せたあとにドリー
または撮影しているカメラの前にものを置くなどをして画面が真っ暗になったあとに同様の移り変わらせ方で
次のシーンにつなげるというやり方で何パターンかを撮る。(覆いというカットつなぎの手法)
日常シーンのパターン
・朝起きるシーン
・歯を磨いているときに鏡に幽霊が映る。しかし、磨いている口ばかりを気にしていて気づかない。
・観ていたテレビを消すと暗い画面に反射して主人公の後ろに幽霊が映る。しかし、気づかず床につく。
・飲み物を飲んでいるコップの中から手が出てきて主人公を掴もうとする。しかし、テレビに釘付けで気づか
ない。飲もうとしたときにひこっむ。
・コップに注いだコーヒーの中にポットから髪の毛が入ってくる。しかし、気づかずそのまま髪ごと飲んでしまう。
・友達と学内での会話シーン(※1)
・その他、授業を受けている。道草くってる。などの普通の日常シーンも入れこむ。

(※1)会話内容
アドリブ等。
ホラー映画の話をしている。「リング」または「呪怨」「死霊のはらわた」などの作品についてマニアックな内容で
話している。(斉藤が一方的にしゃべっている)

↓この一章を少し改良すると思います。

大学から家に帰ってきた場面。次の日の用意で部屋の中をあさり探し物をする井沼。
(井沼)「どこやったっけな~・・・・・・」
しばらくしてクローゼットに手をつける。中の服をかき分ける。
(井沼)「・・・・・・ん?」
カメラは井沼の視点の動き。クローゼットの奥にお札のようなものを見つける。
(井沼)「これは・・・」
べりっ。お札をはがす。ながめる。
(井沼)「なんだこれ。(クシャクシャ)うらっ」
お札を丸めてゴミ箱に放り込む。
(井沼)「ハァ・・・。ない・・・・・・」


1,『クローゼットの中に・・・Ver.』
一息つく。
カサカサ。
カサカサ。クローゼットの中から音がする。
(井沼)「あ?ゴキブリ?」
もう一度クローゼットを開ける。
(井沼)「何もいないか・・・」
振り向くと目の前に女の人の霊が。
(井沼)「うわあああああああああ」
井沼近所迷惑になるレベルで絶叫。幽霊も若干びびる。
気絶する井沼。

2,『MacWebカメラVer.』
Macのアプリケーションで遊んでいる。
友達とホラー映画についてしばらく雑談。

(斉藤)「最近POVのホラー多いよな~」

(井沼)「うんうん。たしかに~」
(斉藤)「俺思ったんだけどさ、Webカメラを使ってなんかホラー映画とか作れないかな。」
(井沼)「こうやってネットで通話しててなにか起こるとかね」
(斉藤)「自分には見えないけど、話し相手には何かが見えてる、とかさ」 (井沼)「そのアイデアいいね」
(斉藤)「・・・あれ。お前の後ろ、なんかいない?」
(井沼)「またまた~。さっそくやめてよ~」
(斉藤)「・・・・・・いや、嘘じゃない。いやいやいや、まじでなんかいるって!」
(井沼)「え・・・・・・?」
突然ネットの回線が切れる。
振り向くと目の前に女の人の霊が。
(井沼)「うわあああああああああ」
そして気を失う。
・・・翌朝。
何事もなかったかのように普通の生活を送っているシーン。


〈幽霊を見て気絶した後のシーン〉

・暗転から開けて朝のシーン 

 クローゼットの中に身体を半分入れ、仰向けになって横たわっている井沼。
ふと目を開け、何事もなかったかのように上半身だけ身体を起こす。
(ちょっと頭をぶつけたりする。)

(井沼)「あれ・・・なんで、こんなとこで・・?」

 眠そうにしながらも不思議そうにあたりを見渡す井沼。少しボーッとし、だるそうに立ち上がるとベットの前に置いてある目覚まし時計を手に取り確認する。

(井沼)「うん?・・・う〜ん・・。うわっ!」

 慌てた様子で急いで支度をして家を出る。

・ 学校のシーン

 授業を受けている井沼。しかし、その顔はなんだか浮かない表情である。
 休憩時間に斉藤とテーブルの席(12階のテーブル席)で話す井沼。

(斉藤)「・・・でさぁ、そいつはそのまま・・・うん?なんだ井沼、どうかしたのか?」
 難しい顔をし、下を見ている井沼に少し心配そうに声をかける斉藤。
(井沼)「ん?あっいや・・・ん〜・・・、なんかね、今日一日な〜にか忘れてる気がして・・・」

 落ち着かない様子で頬を掻きながらぼそぼそと井沼は話す。

(斉藤)「何か心当たりとかあるの?」

(井沼)「う〜ん、昨日の事だったと思うんだけど、記憶の大事なところだけ、ん〜なんかぼやけちゃってるような感じで・・・」

 何かを思い出そうとしながらぎこちなく話す。

(斉藤)「ふ〜ん、大事なとこが見えないのか〜。ふっ(笑)」

(井沼)「は?」

 斉藤のおかしな返しに少し困惑する井沼。

(斉藤)「あ、いやいや何でもない。ん〜ま〜そんな事俺だってよくあるよ。そのうち思い出すでしょ。」

(井沼)「ああ・・うん・・・」

 斉藤の態度にちょっと不満そうにする。

・ 帰宅シーン

 あたりは日が落ち、もう暗くなっている。学校を出て、道路を歩いているシーンの後、自宅マンション前のシーンへその間井沼はずっとボーッとした状態でいる。
 マンションの階段を上っていく井沼。自分の部屋のドアの前まで行き、鍵をあけようと自分の背負っているカバンのポケットから鍵を取ろうとすると思わず指を滑らせてしまい、鍵を落としてしまう。それを取ろうとしゃがみ込んだ瞬間に昨夜自分が気絶した体制と同じ事に気がつく。それと同時に自分の体験した恐ろしい事をふと思い出してしまう。

(井沼)「ん?あっ、あ〜〜〜っ!そうだ、思い出したー。うわ〜ど、どうしよ〜!!」

 立ち上がりながら少し大きな声でジタバタと騒ぐ井沼。

(隣人)「うるさい!」

 隣の部屋から聞こえてきた大きな声にビクリとし騒ぐのをやめる。

(井沼)「ん〜、しかし家はここだけだしな〜」

 小声でぼそぼそと話す。

(井沼)「ん〜、いや、けど、あれはもしかしたら夢っかも知れないし仮にそうでなくても・・・んっいや、い、いない・・・うん、そうだ・・いない、いない・・・よね・・うん。・・・いない」

 ぼそぼそと小声でしゃべりながら小さくうなずくと、ゆっくりとドアを開けて部屋の中に入っていく井沼。
 玄関前の電気のスイッチをそっと付けると恐る恐る部屋の奥へ進んでいく井沼。明るくなった部屋の真ん中に立つとぐるりと全体を見渡したかと思えば、その後、ベットの下、トイレ、机の中、クローゼットなど部屋の隅々を覗きだす。一通り覗き終わると「ふう」と一息つき、コーヒーをコップに注ぎ、テーブルに置くとテレビを付けていつも見ている好きなバラエティー番組を観だす。
 少し笑顔が戻り、テーブルに置いたコーヒーをテレビを観ながら取ろうとすると、急にコップが井沼の手から逃げるようにススーっと動く。その瞬間、テレビが砂嵐の映像に切り替わり、それに続くように部屋の電気が切れ、部屋はテレビの砂嵐の映像だけで照らされる。

(井沼)「うひゃっ、うひゃひゃぁぁぁ〜」

 突然の事に驚いた井沼はおかしな声を上げて飛び跳ねる。

 すると、砂嵐の音が流れ続ける中、「ふふふ」とかすかに女の笑うような声がしてくる。気付いたことで固まった井沼がテレビ画面を見ると砂嵐の中に薄気味悪い女の顔がうすらうすらと見えてくるそれと同時に笑い声もはっきりと聞こえだしてくる。

(井沼)「は・・ひ・・ほいーーっ」

 またも奇妙な声を出すと井沼は布団の中に頭から飛び込むように潜り込んでしまう。

(井沼)「はぁ〜・・やばい〜・・どうしよう・・」

 布団の中で前を向きながら怯えてまるまる井沼。
 その怯えている井沼の前に何ともいえない存在感を感じる。少し中が青白く光る布団の中で井沼以外の何かが井沼の前で動く。

(井沼)「ん?」

 突如、布団の奥からテレビに映っていた薄気味悪い女が現れる。それは井沼の顔ギリギリまで迫ってくる。

(井沼)「ウォシャシャー!」

 驚いた井沼は声を上げて布団から飛び出る。するとあたりは元どおりに電気はついてテレビも普通にバラエティー番組を流していた。

(隣人)「うるせー」

 ちょっとビクッとする井沼。

(井沼)「こ、これが東京の恐ろしさというやつなのか・・・」

 布団の上で立ち尽くしながらぼそりというのであった。画面が暗転する。

・ 学校のシーン

(斉藤)「はっ?何それ?」

 画面が明けると学校のテーブル席(2階丸テーーブル)で井沼と斉藤  
が昼食を取りながら話している。数日後のテロップ。

(井沼)「いや〜、僕もよく分からないんだけど、何日も前からよくよく現れるというか・・・」

井沼の回想シーンへ(井沼の語りに合わせて映像が流れる。)

(井沼)「・・例えば、布団に入って寝ようとしたときに何となく嫌だな〜って気配がすると思って目を開けたら隣に女の人が居たりして、うわって思って目を閉じるんだけど、やっぱり気になって少し目を開けてみたら・・・なんか増えちゃってて・・・」

 回想明ける。食事をしながら聞いている斉藤。

(斉藤)「ふ〜ん、それ幽霊でしょー。ふっ、そんな話に俺はビビらねーよ。」

 馬鹿にしたように返す斉藤。

(井沼)「ホントだって〜、•••じゃあこの写真見てみて」

 そういいながら井沼は自分のカバンの中から小さいデジタルカメラを取り出し、おもむろに画面を見せはじめる。

(斉藤)「ん?」

(井沼)「どう?これ」

 画面には夜に撮ったであろう井沼の部屋が映っている。何の変哲もない生活感のある部屋が映し出されている中、黒く映るベランダの窓に白い人影のようなものが映っている。

(井沼)「ほら、この窓のところ」

(斉藤)「ん?あ〜、いたいた。」

(井沼)「部屋で写真撮ると必ずこういうのが映ってくるんだよね〜」

(斉藤)「へ〜、うまく映ってるね〜。けど、ホトショでいじったでしょ。」

(井沼)「ちがうよ〜、・・・じゃあこれならどう?」

 画面の映像を切り替え動画を見せはじめる。

(斉藤)「ん」

・ 動画内容
井沼が洗面所前を映している。洗面所の鏡が映るとそこには髪で顔の隠れた男が映っている。映像がその男が映っているはずのところを素早く切り替えて映しても誰もいない。しかし、また鏡を映すと男が立っている。井沼は「いる。いない。」と言いながら繰り返し双方を映している。

(井沼)「どう?」

 少しどうだという表情で斉藤に返す井沼。

(斉藤)「んっ?あ〜、これはアレだろ、ん〜なんか編集みたいなことしてさぁ・・・」

少しだけ動揺した様子で話す斉藤。

(井沼)「え〜、これでも信じてくれないの?・・・じゃぁ、僕の部屋に来てみれば分かるよ!すぐ近くだし、今日大丈夫?」

(斉藤)「え〜、めんどくさいな〜、・・・ん〜まっ、今日は暇だし、そんなものはいないという事を証明してやろうじゃないの。」

(井沼)「じゃぁ、決まりね〜」

 黒の画面になる。

・ 井沼のマンション 夕暮れ

 画面が明けると井沼のマンションの前にいる井沼と斉藤。井沼が先
導し、二人はマンションの階段を上がり部屋の前まで行く。

(井沼)「ここだよ。」

(斉藤)「おう」

 二人は部屋の中に入り、暗くなっていたので井沼は部屋の電気を付ける。

(斉藤)「お邪魔しまーすと」

(井沼)「はーい。」

部屋の奥に入っていく井沼に続いて斉藤も進んでいく。リビングの中心につくと荷物を床において立ち止まる井沼。

(井沼)「ふう。・・・あっ、お茶でもいる?」

(斉藤)「あっ、いいよ。おかまいなく。」

 そう言うと斉藤も井沼と同じように荷物を部屋の隅に置く。

(斉藤)「・・・ふ〜ん。これといって何も感じないけどな〜」

(井沼)「ん〜、じゃぁどこでもいいから部屋の中で写真撮ってみて」

(斉藤)「よし、ちょっと待って」

 そういうと斉藤はポケットの中から携帯(ガラケー)を取り出すとそのカメラ機能を使い「ういっ」と言いながら部屋の窓側に向けて一枚写真を撮る。その後、すぐに写真を確認する。
 少しの間じっと見た後に

(斉藤)「ほら、何も映ってないじゃん。」

 そう言いながら携帯の画面を井沼に見せつける。
 井沼は少し斉藤の手にある画面を見つめると

(井沼)「•••あっこれそうじゃない?」

 そう言いと画面の右下の端を指差す。「えっ?」と言いながら斉藤も一緒に画面を見始める。指の先には小さく顔のようなものが映っている。

(斉藤)「ん?は?・・・じゃぁこれならどうだ!」

 動揺した斉藤は部屋中を動き回りながらかカシャカシャと撮りまくる。
 7~8枚撮るとはぁはぁと息を切らしながら画面を確認する。

(斉藤)「よし」

 撮った画像を一枚ずつ見ていくがどの写真にもうっすらと女らしき姿が写っており、画像を次に進めるごとにその姿がどんどんと画面に近づいてくる。「え?は?」と動揺の声を漏らしながら進めていく斉藤。
最終的には画面いっぱいに恐ろしい女の顔が映っている。
 次の瞬間に斉藤の携帯がメキリと音を立てて開く方とは反対側に折れ曲がってしまう。唖然とする斉藤。折れた携帯を少し気にしながらもゆっくりと井沼の方を向く。

(斉藤)「ご、ごめん・・・疑って、悪かった。」

 驚きを隠せない様子で謝る。

(井沼)「信じてくれたならいいよ。あっ、携帯ごめんね。」

(斉藤)「あっ・・・うん。ってか、ちょ、ここヤバくない?!」

(井沼)「あ〜、そうかもね〜」

(斉藤)「お前のんきだな〜、ん〜・・・。あっ!そう言えば昔の友達に親戚が霊媒師ってのがいたような・・・ま〜、全然信じてなかったけど、そいつに頼んでみる?」

(井沼)「おわ、凄い巡りあわせだね。じゃぁお願いしてもらおうかな。」

(斉藤)「よし。じゃぁ今から携帯で・・・」

 そう言うと壊れた携帯を見る斉藤。すぐに井沼の方を向き

(斉藤)「・・・は無理だから家に帰ったら番号調べてすぐ連絡するよ。・・・てか、井沼は今晩もここにいて大丈夫か?あれだったら霊媒師が来るまでウチに泊まってもかまわないけど。」

(井沼)「いいよ。電車代ももったいないし」

(斉藤)「えっ、いいの?」

(井沼)「うん。」

(斉藤)「そ、そうか・・・分かった。家に帰ったらそいつにすぐに連絡するよ。」

(井沼)「わかった。」

(斉藤)「よし・・・じゃぁいくね。」

 斉藤はそう言うと壊れた携帯を握ったまま荷物を手に取り玄関の方に向かっていく。

(井沼)「ああ、じゃぁまたね。」

(斉藤)「あっうん。じゃぁ気をつけろよ。」

(井沼)「うん。」

 斉藤はドアを開けながら一言いうと慌てた様子で出て行く。
 閉まるドア。

・ 駅前のシーン 昼頃

 駅前で誰かを待つようにして立ち尽くす斉藤。少しして駅の方か
ら一人の男が向かってくる。その身なりはワイシャツにネクタイ、ビジネスカバンといかにもサラリーマンといった格好だ。

(斉藤)「あっ、こっちです。こんにちは。」

(霊媒師、田中)「こんにちは」

(斉藤)「では、こちらです。」

・井沼の部屋のシーン

 部屋で井沼は足の爪を切りながらテレビを観ている。そこに電話がかかってくる。

(井沼)「はい、井沼です。あっもうすぐ来る?うん。わかった。は〜い。・・・あれ?携帯直ったの?あっ、公衆電話か、うん。待ってるね。」

 電話を置くとまた爪切りに戻る。少ししてテレビを見ながら笑っているとインターホンが鳴る。

(井沼)「は〜い」

 テレビを消し、玄関のドアを開けると斉藤に続いて田中が入ってくる。井沼と斉藤がサッと挨拶をすると井沼は田中に挨拶をする。

(井沼)「あっ、こんにちは。」

(田中)「こんにちは。」

 淡白に田中はかえす。

(斉藤)「あっこちらは、霊媒師のえ〜・・・」

(田中)「田中です。えーでは早速ですが部屋の中を見せていただいてよろしいでしょうか?」

(井沼)「あっはい。お願いします。」

 井沼が先導しリビングに行くと田中は床にビジネスバッグを置き中から革製の手袋を取り出し付けると、カーテンや机といった部屋の所々を何かを探すかのように軽くなでるように触っていく。その様子を井沼と斉藤はただただボーッと並んで眺めている。
 少しすると田中は「よくわかんないな〜」とぼそりと言いながら自身のビジネスバッグから数字のメモリと針のついた発信器のようなものを取り出すとその電源のようなものを付ける。そのとたんに発信器の針がビンと一瞬で最高の値まで達する。

(田中)「ん?え・・・」

 動揺した様子の田中は発信器をぽんぽんとたたいたり電源を付け直したりして確認している。しかし、発信器の値は変わらないままである。

(田中)「あ、ありえない・・・何だここは・・・」

 明らかに様子の変わった田中は発信器を置いてフラフラと井沼と斉藤の間を抜けていく。

(田中)「ちょっと、洗面所いいですか?」

(井沼)「あっ、どうぞ」

 落ち着かない様子の田中は洗面所に入りドアを閉めると手袋を洗面台に置き、水で顔をすすぎはじめる。そして、洗面台に手をつき、うつむく。

(田中)「お、落ち着け、はぁ、しかし、こんなところ俺の手には負えないぞ・・・どうする」(心の声)

 そのとき、ぽたぽたと洗面器の中に黒い液のようなものが落ちてくる。不審に思った田中は「ん?」と言い、鏡で自分の顔を見る。すると鼻から黒いドロドロとしたものが流れている。
 とっさに手で拭う。しかし、その後に耳や頭、口からなど頭の至る所から流れてくる。

(田中)「え?うっあ・・・」

 その勢いはどんどん強くなり頭から掛けてドロドロになっていく。

(田中)「あぁぁ、うわあぁぁぁぁぁぁー!!」

 田中は絶叫すると洗面所から飛び出て何も他に持たず、井沼の部屋を飛び出ていってしまう。井沼や斉藤から見た田中にはドロドロのものは見えていなかった。

(井沼)「おわ〜、お隣さん留守でよかった〜」

(斉藤)「そこか!え〜てか、頼みの綱いっちゃったよ〜」

(井沼)「だね〜」

(斉藤)「これからどうする?あの様子だとここは相当だぞ。」

(井沼)「ん〜•••、けど僕はここに住み続けるよ。そんなに居心地も悪くないし、それになんか部屋にいても寂しくないんだよね〜」

(斉藤)「え〜、お前よくそんな悠長な事言ってられんなー、さっきの田中さん見てなかったのかよ!」

(井沼)「大丈夫だよ〜、それに、もしヤバいな〜って思ったら引っ越せばいい事だし」

(斉藤)「けどな〜」

(井沼)「大丈夫、大丈夫」

(斉藤)「危険だと思うんだけどな〜、ん〜・・・」

 斉藤が悩んでいるとゴソゴソと音がし、何かと向くと井沼が無邪気に田中のバックから大きいろうそくの様なものを取り出していた。

(井沼)「みてみて、こんなの入ってたー」

 暗転
〈この後、井沼の幽霊との日常のシーン〉
 ※このシーンの詳細は次のページで行います。
【井沼、幽霊との日常シーン】
 基本的には前回の井沼の日常のシーンの様に覆いというカットつなぎを行いながらダイジェストで井沼の幽霊との生活の様子を見せていく。

日常シーンのパターン(幽霊)
・ 寝ようと部屋の電気を消す。しかし、その後すぐに何もしていないのに電気がつく。何度も消すけど何度も付いてしまう。
・ テレビを観ていたらふと窓が気になり、みてみると外に霊がいる。井沼は「こんばんは」と言った後に「入ります?」と聞く。
・ テーブルのコップを取ろうとするとサッと逃げる。それをまた取ろうとするとまた逃げられる。
・ 学校での斉藤との会話シーン。井沼だけが楽しそうに会話をしている。
・ 朝起きて洗面所で顔を洗って鏡を見たら自分のじゃない髪の毛が顔にびっしり付いている。
・ 朝のコーヒーのコップの中をのぞいたら自分じゃない顔が映っている。井沼は「おはようございます」と言いながらそのコーヒーを飲む。













・ 井沼の部屋 夕暮れ 

 最後の覆いのカットから明けると数週間後のテロップとともに部屋にいる井沼と斉藤。

(井沼)「じゃぁ、みててね。」

 そう言うと井沼は左手を前にだす。

(井沼)「コップお願いします。」

 そう言うと即座に井沼の手にコップが飛び込んでくる。井沼は見事にキャッチする。唖然としている斉藤。

(井沼)「よおし」

 そう言うと井沼は右手を前に出す。

(井沼)「リモコンお願いします。」

 そう言うとリモコンが井沼向かって飛んでくる。しかし、それは井沼の頭に当たってしまう。

(井沼)「いたたたた。失敗しちゃった。けど、凄いでしょ〜、名付けてポルターガイストキャッチ!」

(斉藤)「・・・井沼・・お前、」

(井沼)「ん?」

(斉藤)「・・・やっぱヤバいよ、完全に取り込まれてるよ」

(井沼)「ヤバくないよ〜、適応してるだけだよ。」

(斉藤)「井沼、俺はな」

 斉藤が話しだしてから会話のあいだあいだに誰かが向かってくる映像がピンポイントな部位だけを映して流れはじめる。

(斉藤)「心配でもうある人をもう呼んでいるんだ。」

(井沼)「ある人って?」

(斉藤)「それは最強の霊媒師とも言われている」

(井沼)「えっ?いやいやこさせなくていいよ。」

(斉藤)「その人は」

(斉藤)「浅原彰三だ!」

 斉藤が名前を言ったと同時に玄関のドアが勢いよく開く。そこには最強の霊媒師こと浅原彰三が立っていた。

(井沼)「うわっ、ちょ誰ですか?!」

 その後も浅原はズカズカと井沼の部屋に上がり込んでくる。

(井沼)「えっ不法侵入ですよ。警察・・・」

 騒ぐ井沼を無視して斉藤は浅原に話しかける。

(斉藤)「あの、お願いします。」

(浅原)「分かっておる。しかし、ただならぬ気配だ。これは相当激しい戦いになるであろう。」

(井沼)「えっいや、戦わなくていいです。」

(浅原)「まずはこれじゃ」

 そう言うと浅原は自分のぼろぼろの手持ちカバンの中からビンに入った水や塩を取り出すと部屋中に撒きはじめる。

(井沼)「わー、部屋汚さないでー」

(浅原)「やはりダメか、ならば」

 ある程度撒いた後にそう言うとカバンの中からまるで人の肌の皮膚で装丁したような気持ちの悪い本を取り出す。

(浅原)「先祖代々から伝わるこの書を使うことになるとはな。」

 浅原はそう言うと本を開き呪文のようなものを唱え始める。

(浅原)「なむなむななむぬまぬまぬなむなむ・・・」

 呪文を唱えていると突然声がしなくなしピタリと浅原は後ろを向いて立ったまま動かなくなってしまう。

(斉藤)「あれ?どうしたんですか?」

 浅原に反応はない。井沼と並んでいた斉藤はゆっくりと浅原に近づいていき、すぐ後ろまできたときに

(斉藤)「大丈夫ですか?」

 と声をかけると同時に肩を叩く、その瞬間真っ白になりボコボコになってまるで別人のような顔になった浅原が勢いよく振り返りものすごい形相で斉藤を睨め付ける。同時に斉藤は浅原に突き飛ばされ、後ろの壁までふっとばされる。

(斉藤)「あぁ〜」

 そのまま浅原は倒れた斉藤に向かっていく。

(井沼)「えっ?!斉藤くん!」

 井沼は「わー」言いながら近くに合ったリモコンで浅原の頭を殴る。浅原は井沼の方を見ると手で振り飛ばす。井沼は窓側まで飛ばされ、ベッドに頭をぶつけてしまう。
 そこに浅原は近づいてくる。すかさず斉藤が飛び蹴りを後ろから食らわす。飛ばされた浅原の下から井沼がギリギリで抜けてくる。しかし、頭をぶつけた衝撃でクラクラしている。
 浅原は立ち上がり、机のはさみを取るとまた斉藤に襲いかかってくる。それを斉藤は両腕を掴みギリギリで抑える。
 今にもやられそうな斉藤を見て井沼はどうにかしなきゃとなるが立つことさえできない。そこに目の前にあの本が落ちていた。パクパクと動いて明らかに怪しい。そう思った井沼は前に田中が忘れていったビジネスカバンの中にろうそくとともに入っていたマッチを思い出し、近くに合ったので取り出すと。騒ぎで倒れて転がっていたスプレー缶を使って勢いよく本を燃やした。一定の間燃やすと本は何もしなくても勢い良く燃えた。
 すると斉藤を襲っていた浅原がガクガクとしはじめた。その隙に斉藤が逃げ出すと浅原はガクガクしながら立ち上がり、ゆっくりこちらを向くと突然「ぎえぇぇぇぇぇぇ」ととんでもない叫び声をあげたとたんに下半身を残して上半身が爆発してしまう。飛び散った血や肉片は部屋中を赤く染め、井沼と斉藤も真っ赤になってしまう。
 唖然とする斉藤の隣に井沼が立ち上がる。少し沈黙

(隣人)「うるせー!いい加減にしろ!!」

 二人は少しビクッとして顔を見合わせる。
暗転

・ 井沼の部屋のシーン 昼頃

画面が明けて数週間後のテロップ、片付いた部屋のベッドでゴロゴロとくつろいでいる井沼。そこにインターホンが鳴る。

(井沼)「はーい」

 ドアを開けるとそこには斉藤がいた。

(斉藤)「よっ」

(井沼)「あっ、おはよ〜」

 二人はリビングまで行く。

(斉藤)「しかし、よくまだここに住めるもんだなぁ」

(井沼)「うん。けど、アレ以来からすっかり幽霊は出なくなっちゃった。」

(斉藤)「案外除霊できてたのかもな〜、・・・あっそうだ。ほらこれ見てみ」

 そう言うと斉藤はポケットから最新のスマートホンを取り出す。

(斉藤)「いや〜、買っちゃったよスマホ。いいでしょ」

(井沼)「ふ〜ん、良かったね。」

(斉藤)「よおし」

 そう言うと適当に部屋の写真を撮る。

(井沼)「何やってるの?」

(斉藤)「何って実験だよ。本当に霊がいないか確かめてんの」

(井沼)「いないと思うよ。全然みないもん」

画面を確認する斉藤。

(斉藤)「やっぱいないか〜」

(井沼)「ちょっと見せて」

 横から画面を覗く井沼。

(井沼)「ん〜、・・・あれ、これ何?」

 画面に映る机の下を指す井沼。そこには薄らとだが、霊媒師、浅原が映っていた。画面を見て沈黙する斉藤。
  次の瞬間、斉藤のスマホが五つほどに別れて散乱してしまうのだ  った。

                         終わり。