ミライノート(仮)プロローグテスト映像ができるまで…


今日も仲の良い2人。
神野は気持ちが少しづつ藤井君から離れつつあることを実感していた。
そんな中完成した絵コンテ―


とてつもない完成度とシュールさを孕んだ、部長渾身の絵コンテ。
全てはここから始まった

「これ今撮っちゃう?」


製作費0億円。撮影時間2時間ちょいの過酷な撮影が始まった。


撮影の時の私は一味違うよ。
そう語った彼の目は、普段とはまるで違う輝きを放っていた。口調も変わっている。
神野聡は、一切の妥協を許さない。

しかしここでアクシデントが発生した。
彼は友人役である坪谷築の撮影シーンの一部を撮り損ねてしまったのである。

役者の最高の演技を取り損ねるという、監督にとって致命的なミスは、彼のプライドを大きく揺るがした。
だが、神野聡はここで思わぬ行動に出る。

よろしい、私が出よう。


迫る閉館時間、決死の撮り直しが始まった。

友人の一部シーンを替わりに監督自らが演じるという前代未聞の試み。
しかしこれが役者やスタッフ一同の心を一つにし、志気を向上するに繋がった。
神野聡は、一切の妥協を許さない。

そして監督自らが演じた名シーンがこれである。
この場面は後の映画シーンに永久に語り継がれることになるだろう―

                                               坪谷